鯉山の飾りは、大きな鯉が龍門の滝を跳躍しながら登る姿をあらわしています。前面に朱塗りの鳥居をたて、山の奥には朱塗りの小さな祠を安置し素戔嗚尊を祀り、その脇から下がる白麻緒は滝に見立てられています。
鯉山の象徴である木彫の鯉と波は江戸時代の名工左甚五郎作と伝えられてきました。 木片の材質調査から、素材は1650年頃の檜であることが判明し、江戸時代前期に彫られた事が裏付けされる結果と成なりました。
欄縁、角金具などはすべて波濤文様に統一されています。
金具類は吉岡華堂の図案を基に名工村田耕閑によって作られたもので、明治22年には雲文様の見送り掛け、波濤文様の欄縁一式。明治33年には見送り金具と角金具。見送り金具は雲模様の受け具と鶴の留め具が東西異なった意匠で彫られており、大小8つある角金具も全て異なった意匠の波濤模様と鶴が彫り込まれている凝ったものである。
前懸、胴懸二枚、水引二枚、見送は十六世紀にベルギーのブリュッセルで製作された一枚の毛綴(タペストリー)を 裁断して用いたもので、重要文化財に指定されています。昭和57年からはタペストリーの復元新調事業が始まり、現在は復元新調品を用いて巡行に参加しています。
胴掛けの両脇に使われている龍の刺繍は350年程前の婦人官服からの流用で、孔雀の羽が使われている高価なものである。前額水引には西洋草花文の刺繍(明治34年に新調。平成22年復元)、後ろ水引は中央に金地花唐草文様錦(明治34年新調、平成23年復元)、左右に花模様綴織(明治34年新調)と豪華な組み合わせとなっている。
他にも朱塗りの社殿や大峰山寺から伝来した真松にかける鯉の五鈷鈴など、貴重な品々によって鯉山は飾られています。